睡眠が大切であることはわかっていても、日々の睡眠時間を十分に取れている人は少ないかもしれません。
日本人は世界的にも睡眠時間が少なく、睡眠不足の国民とも言えるでしょう。
その原因は、パソコンやスマートフォンの普及や24時間営業の店の増加など。
また、日本人は睡眠に対して意識が低く、重要性を理解している人が少ないと言われています。
そこで、今回は睡眠の必要性や睡眠不足になるとどんな危険性があるか、質の高い睡眠とはどういうものかを解説していきます。
睡眠は大事?
なぜ睡眠は必要?
「睡眠は大事」とよく聞きますが、具体的になぜ大事なのでしょうか。
脳と身体の疲れを回復させるため
人は起きている間ずっと、頭では情報を処理し、身体を使って活動しています。
そのため、「覚醒状態」という目が覚めている時間は頭も身体もエネルギーを消費している状態になります。消費し続けると、頭も身体も疲れてしまい、働きが悪くなってしまうのです。
睡眠には疲れた頭や身体を休め、回復させる働きがあります。
睡眠のリズムにはノンレム睡眠とレム睡眠があるということをご存知でしょうか?
睡眠の間、約90分毎にノンレム睡眠とレム睡眠の状態となり、それを4回ほど繰り返すことで十分な睡眠が取ることができます。
ノンレム睡眠
眠り始めに出てくる状態で、脳の動きが緩やかになり、深い眠りとなります。
レム睡眠
ノンレム睡眠の次に出てくる浅い眠りのリズムで、夢を見るのはこのとき。
脳の動きは活発でも筋肉が緩む状態で、身体を休める睡眠です。
肌をきれいにするため
睡眠時間の中で、深い眠りであるノンレム睡眠中に成長ホルモンが分泌され、肌の代謝が行われます。
深い眠りと浅い眠りのサイクルは交互に出てきますが、深い眠りであるノンレム睡眠が長いほど成長ホルモンが分泌されるので、きれいな肌が作られます。
記憶を定着させるため
睡眠には、目が覚めているときの体験を記憶として脳に定着させる役割があります。
浅い眠りであるレム睡眠のときに脳の一部が活動して、起きているときの体験を整理して脳にその記憶を定着させます。
勉強などで覚えたいことがある場合は、レム睡眠が重要です。
また、深く眠って脳を休めるノンレム睡眠のときに、嫌な記憶を消しているという研究発表もあります。
睡眠によって、自分にとって必要な情報とそうでない情報を整理することができます。
太りにくい身体になるため
睡眠時間が少ないとき、無性におなかがすくことはありませんか?
反対に十分な睡眠をとることで、エネルギー代謝を促すホルモンや食欲をコントロールするホルモンが分泌して、カロリーの摂り過ぎを防ぎ、太りにくい身体になります。
睡眠不足のデメリットとは?
時間も質も十分な睡眠が必要であることはわかりましたが、それが不足するとどのようなことが起こるのでしょうか?
睡眠不足のデメリットについて説明します。
起きている時間に悪影響がある
一般的に6時間未満の睡眠は、日中に強い眠気を感じるようになります。
酔っぱらっているような状態のため、判断力や集中力が鈍ったり疲れやすくなったりして日常生活に支障が出ます。
ストレスが増える
深い眠りであるノンレム睡眠中に嫌な記憶であるストレスを整理して消去することができますが、睡眠時間が不足するとストレスを整理することができずたまってしまいます。
ストレスがたまると、中途覚醒や早期覚醒、入眠困難などの睡眠障害を起こし、悪循環となってしまう可能性も。
血圧が上昇する
睡眠が不足すると常に自律神経のひとつである交感神経が主となり、アドレナリンやノルアドレナリンなどのホルモンを分泌します。
これらのホルモンは日中に分泌されるべきものですが、睡眠不足の場合眠っている間も分泌されることで血圧が高くなり循環器系疾患の恐れも出てくるので注意しましょう。
生活習慣病を起こしやすくなる
睡眠時間が短くなると、満腹感を感じるレプチンというホルモンの分泌が低下し、食欲を増すグレリンというホルモンの分泌が増えて食べ過ぎてしまうことも。
また、睡眠不足だと糖をエネルギーに変えるインスリンの働きが悪くなるため、肥満や糖尿病などの生活習慣病になりやすくなります。
質の高い睡眠とは?
睡眠時間ももちろん大切ですが、長い時間眠っても睡眠の質が低ければ心身の疲れは取り除くことはできないでしょう。
質の高い睡眠は、ノンレム睡眠を十分にとり脳を休めることが必要です。
具体的には、睡眠の始めに訪れる深い眠りであるノンレム睡眠を90分とることで、成長ホルモンや自律神経の働きがよくなり、その後の睡眠リズムも整います。
まとめ
ライフスタイルの変化などで、日本人の多くが感じている睡眠不足。
睡眠時間が不足することで、ただ眠いというだけではなく、生活習慣病の恐れやストレスが増えるなど心や身体に悪影響を与えてしまいます。
睡眠の必要性や不足することで起こる危険性をよく理解し、質の高い睡眠を実現させましょう。